※五辻希乃愛視点
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前世のことを思い出し、ここが漫画の世界と酷似していると知ったのは初等部の頃。

幼馴染で従兄の久世光太郎はずっと憧れの兄のような存在だった。



けれど、五辻希乃愛の運命を知ってからは抗いたいという想いの方が強くなった。


久世光太郎に恋をした希乃愛は、彼の婚約者の雲類鷲真莉亜を恨む。

傲慢な真莉亜は光太郎のことを嫌い、ワガママで振り回していた。



大事な光太郎が真莉亜に縛られて生きていくことから解放したかった希乃愛は、光太郎への想いを募らせて精神的に追い込まれていく。


報われないのなら、せめて想い人を苦しめる女を排除すると決意して、真莉亜を殺した。


そして、後に浅海奏と天花寺悠にバレて、追い込まれた最後は飛び降り自殺をする。



そんな絶望的な運命だった。


だからこそ、私は久世光太郎に恋をしたくなかった。




それなのに彼の笑顔に、彼の裏表のない言葉に惹かれてしまった。