報われない片想い。

辛く悲しいものだとしても、私は身勝手に人を巻き込んだことは許せない。

私に見せていた笑顔が全て嘘だったことは正直かなりショックだけれど、胃のあたりがじくじくと熱くなっいる怒りがあることも事実だ。




「ねえ、希乃愛」

希乃愛の前まで歩み寄り、にっこりと微笑む。


「その望みを叶えてあげるわ」

「……は? なにを言っているの」

「貴方を利用させてもらう」


涙に濡れた希乃愛の瞳が戸惑うように揺れる。

彼女が望んでいた婚約破棄を、彼女を利用して叶えさせてもらう。



卑怯だとか罵られても構わない。

怒りもあったけれど、私も貴方を罵る気はない。



「覚悟してね」


汚いことをするのはお互い様。