「殺す気なんてないわよ! ただ、光太郎に嫌われればいいって思っていただけ!」

「それなら、彼女の周りの人も巻き込んで傷つけても構わない?」


そうだ。私だけじゃない。

あの百合園新聞が原因で蒼は傷つけられた。


私を試すために浅海さんは嫌がらせをされた。

雅様たちだって自業自得な部分もあったけれど、希乃愛の恋情によって利用された。



「みんな自分が可愛い。そんなの当然のことでしょう。私のことを信じて、いい人ぶっている貴方を見ていて、バカみたいって思っていたわ」

「希乃愛、私は久世と結婚する気なんて本当にないわよ」

「……っそんなこと言っていても、結局破棄できていないじゃない!」


希乃愛の目から大粒の涙がこぼれ落ちる。

彼女は本気で久世のことが好きなのだろう。

けれど、彼女がしたことをすんなりと許せるほど私はできた人間じゃない。