できるだけ巻き込みたくはなかった。

花ノ姫である瞳たちは下手すると立場が悪くなる可能性がある。


「けれど、天花寺をわざわざ向かわせるなんて」

『ヒーローにふさわしいのは悠だと思ったからだよ。俺は柄じゃないしね』

「……なにかあった?」

顔を見ているわけじゃないから声色でしか判断できないけれど、なんだか雨宮の様子がいつもと少し違う気がする。


『いや。いつも通りだよ。ヒロインを助けるのはヒーローの役目でしょ?』

「言っておきますけど、私はヒロインじゃないわ」

『それは漫画の世界では、でしょ』


この世界でだって私はヒロインって柄じゃない。

どこか危なっかしくて、けれど純粋で友達のために必死になってくれる浅海さんたちみたいな女の子がヒロインにはふさわしい。




『それと、俺は俺で動いていたんだ。で、ちょっと気になること知っちゃった』

「気になること?」

『そ。百合園新聞を作っている同好会に関して』