「今回の件だけれど、私の考えはこれ以上噂話に振り回されないこと。花ノ姫同士でここぞとばかりに陥し入れあうのはみっともないとは思わない? ねえ、牡丹の君」


撫子の君は腕を組み、目を細めて牡丹の君を見遣った。

花ノ姫の中で怒らせるとこの人が一番怖いかもしれない。


牡丹の君はなにも言い返さずに渋そうな表情をした。



「ただし、もしも今回の件を花ノ姫の誰かが故意に起こしたことなら、副会長である私がそれ相応の処罰をするわ。意味、わかるわね? 金雀枝の君」


撫子の君の視線が英美李様に向けられる。

怯んだ様子の英美李様は表情を隠すように俯いてしまった。


庭園が静まり返る中、重苦しい空気を破ったのはパペットだった。

掲げられたうさぎパペットの口が大きく開かれる。



「悪いことをすれば己に返ってくるぞ。それを覚悟することだな」


こんなときでも怪しげなことを言う流音様……さすがです。

静まり返ったものの、重たい空気は少しだけ和らいだ。