「お待ちになって。それが真実であってもなくても、私たちが口をだすことではないわ」

「あら、ダリアの君。私は紅薔薇の君にうかがっているのよ。花ノ姫として、貴方はどう対処するおつもりなのかしら」


にっこりと微笑みを浮かべて首を傾げる姿は優しげに見えるけれど、牡丹の君の目は笑っていない。

この人は、たぶん私がなにを言っても納得しない気がする。



「少しよろしいでしょうか」

声を上げたのは瞳だった。


「何故、真莉亜を責めるような言い方をされるのですか。そもそも問題なのは、あのような噂を〝故意〟で流した方ですよね」


今日は瞳ともスミレともほとんど話をしていない。

そんなことないと信じたかったけれど、お昼は別でと言われてしまって避けられているのかと思っていた。

だから、瞳がこの場で私を庇うような発言をしてくれたことに少し驚いてしまう。


私と蒼のことを聞いて、もしも瞳たちと距離ができてしまったらと思うと正直怖かったんだ。