座ったすぐ上にある正方形の窓が開く音が聞こえて、慌てて顔を上げる。


すると、見知った人物がひょっこりと姿を現した。




金色の髪が風に揺れる。

どこか不安な眼差しが俺のことを見下ろした。


大人しくて可憐なお嬢様と言われている彼女は姉さんたちといるときはよく喋り、明るい女の子だった。



「……水谷川さん」

黙ったまま俺のことを見つめている彼女の名前を呼ぶ。

水谷川さんは思いつめたように眉根を寄せて、ブレザーのポケットから取り出したなにかを俺に差し出してきた。




「こ、これを!」

「干し梅?」


戸惑いながらも透明の袋に入っている干し梅を受け取る。