「真莉亜様がお見送りをしてくださったのね! 私も車から降りてご挨拶すればよかったわ」

うっとりとしながら言う彼女は俺の幼馴染であり従妹の五辻 希乃愛(いつつじ きのあ)。


「あら、光太郎。今日は楽しかったの?」

俺の顔を不思議そうに覗き込んだ希乃愛は首を傾げた。


「え?」

「だって、いつもは仏頂面で帰ってくるのに今日は少し表情が柔らかいわ」

「……そうか?」

自分ではそんなこと全くわからないな。


「真莉亜様と楽しいひと時をお過ごしになったのね!」

俺と真莉亜の結婚を望んでいる従妹の希乃愛は嬉しそうに声を弾ませた。

何故か昔から俺が結婚をするなら真莉亜じゃないとダメだと言って、俺たちを仲良くさせようとしてくる。

俺にはよくわからないが希乃愛は真莉亜のことを敬愛しているようだった。そんな彼女と従兄の俺が結婚することが嬉しいんだとか。

まあ、でも今日は初めてつまらなくなかったな。