『ありがとう……〝姉さん〟』

真莉亜ちゃんと呼ぶのをやめて、この日初めて〝姉さん〟と呼び始めた。


『当然よ。姉だもの。困ったことがあったら私を頼るのよ』

強気なことを言いながらも、頬には枕の跡がついていて目には涙が浮かんでいる。


俺はただ頷くことしかできなくて、満足したように眠りについた姉さんの横で声を殺して泣いた。


失った人たちは、もう戻ることはないけれど、新しく大事な人たちができた。



俺を温かく受け入れてくれた新しい母さん父さん。

そして、わがままだけど本当は優しい姉さん。



この人たちの笑顔を守れるなら、俺は伯母さんになにを言われても耐えるよ。



俺はこの日から、自分が蓮見蒼ではなく、雲類鷲蒼として生きることを改めて決意した。