※蒼視点
***



幼い頃の姉さんは気が強くて傲慢で、泣き虫で弱かった。

ワガママな子だと最初は思っていた。


偉そうだったから最初は苦手だったし、子分みたいに扱われるんじゃないかって恐れていた。


だけど、自分に自信があるように見えていた姉さんは伯母さんに叱られるたびに後で隠れて泣いていて、本当は弱い女の子だった。



『だいじょうぶ?』

クローゼットの中でひっそりと泣いている姉さんに声をかけると、真っ青な顔で怯えたように縮こまってしまった。



『……いで』

『え?』

『泣いていたこと、だれにも言わないで!』


懇願するように目にいっぱい涙を溜めている姉さんに頷くと、安心したように俯いて、再びぽろっと大粒の涙を零した。