家族を失って本当は寂しくてたまらないのに、一人でひっそりと泣いていたのに、伯母様に叱られて泣いていた幼い私を慰めてくれた優しい男の子。


大切な弟を、私はどうしたら守れるの?



「今の君には酷なことを言うようだけど、動揺せずに毅然としているべきだ。このことを流した犯人はきっと君が動揺し、追い込まれることを狙っているはずだよ」


「……そうね。今までのことを思い返すと、蒼ではなくて私が狙いでしょうね」



犯人の思い通りになんてさせない。

絶対につきとめてやるわ。


雨宮の言う通り、動揺なんて見せてはいけない。



「取り乱してしまって、ごめんなさい」


少しずつ冷静になってきた頭で改めて考える。

私が蒼と本当の姉弟ではないと知っていたのは、伯母様との会話を聞いていた彼らだ。

だけど、今まで原作を知っているような動きを裏でしてきた人がいたことを考えると、あの場にいなかった可能性もある。