「花ノ宮学院の理事長の姪です。お兄さんも花ノ宮出身なんですよね」

「……ああ。その、奏とは」

私と浅海さんが友達だなんて、花ノ宮学院を卒業した生徒なら信じられないのだろう。

あの学院では特待生は見下され、恰好の的だ。



「友達です」

はっきりと答える私にお兄さんが目を見開く。



「そう、なのか……」

「あの学院で通っていたお兄さんは疑わしく思われるかもしれないですが、本当ですよ」


まだどこか信じきれていない様子だったけれど、それ以上はなにも言われなかった。

私って結構きつい顔をしているだろうし、ひょっとしたらいじめていて浅海さんを脅しているかもしれないなんて思われていたらどうしよう。