「だから、私にできることがあれば言ってください。力になれることなんてほとんどないかもしれないですけど、雲類鷲さんが誰かに嫌がらせされているのを黙って見ていたくなんてないです」

「……どうしてそこまで」

原作の浅海さんはもっと淡々としていて、あまり感情を表に出さない女の子だったはずだ。

こんな風に私のことを心配してくれることに少し驚いてしまう。



「雲類鷲さんにはたくさん助けられてきました。それに……大事な友達です」

照れくさそうに頬を染めながら言う浅海さんの可愛さに咄嗟に顔を手で覆う。

反則級の可愛さだわ。

しかも、大事な友達って言ってもらえるの嬉しい。



「えっ、あの……迷惑でしたか?」

「そんなことないわ! むしろとっても嬉しい!」

柔らかな表情で笑う浅海さんにつられるように私も微笑む。

和やかな雰囲気が流れたところに、玄関の方から物音がした。

どうやら誰かが帰ってきたようだった。