「そうだ。文学部の冊子、もう少し待ってて」

「ええ。大丈夫よ」


文学部が二ヶ月に一度発行している『初恋想』。

それがどうしても気になっていて、すべて借りられないか文学部である蒼に頼んでいたのだ。


誰も知らないという文学部の部長。

その人が蒼の書いた『月光の少女』をバッドエンドにしたほうがいいと言ったのだ。


そのバッドエンドが漫画の中の〝雲類鷲真莉亜〟の死に方に似ていたことが、どうしても気になる。



そして、その人が書いたという物語を読めば、なにかわかるかもしれない。



「前までは全冊見本として部室に置いてあったはずなんだけど、一冊だけ見当たらないんだ」