最初はおもしろそうだから手伝うって感じだったのに不思議だ。

少しずつ私たちの関係も変化している。こうやって親しくなるなんて思いもしなかったわ。



「……私だって嫌だわ。殺されるなんて」

無事に高校生活を終えたい。みんなと過ごす日常を失いたくなんてない。

そのためには怖くても、犯人を捜して阻止しないと。




「手当て、ありがとう」

絆創膏を貼った手を掲げて、子どもみたいに嬉しそうに笑う雨宮につられて私も微笑んでしまう。




「やっぱり君は笑顔がいいね」

ほんの一瞬頬に触れた雨宮の手に驚いて肩が跳ねる。

私よりも温度の高い手が先日の放課後を思い出させた。




「……急になによ」

「顔赤いよ?」

「あ、赤くなんてなってない!」

笑い出す雨宮を睨みつけて、乱暴に消毒液を押し付けた。

その行動すらも雨宮にとっては面白いのか「ごめんごめん」なんて謝りながらも顔が笑っている。



「先に戻るわ!」

頬が熱いのを感じながらも、雨宮を残して医務室から出た。


指先が触れられたくらいで赤くなっているわけない。


ただちょっと今日は体温が高いだけだ。