「……雲類鷲さんは俺を甘やかしすぎだよ。そんな優しくされていい人間じゃないよ。家族に対してだって、相手によって態度を変えるようなずるいやつだよ」

「腹黒なのはとっくに知っているわよ。別にいいじゃない。人と上手くやっていくには仕方のないことよ。誰に対しても同じ態度なんて、私もできないわよ」


クラスメイトに見せる顔、親しい友人に見せる顔、家族に見せる顔。

それぞれ違っていてもおかしなことではない。

それにみんなに同じ態度なんてそんなことできる人なんていないんじゃないかしら。




「特に私なんて、学院の人たちの前では猫被りまくりよ? まあ、あなたは知っていると思うけど」



紅薔薇の素顔を知られたら幻滅されるでしょうね。

花ノ姫である者は憧れでいるべきだと考えている人も多いし。





「雲類鷲さん、俺は君に死んでほしくないから犯人のこと本気で捜すよ」