「さてと、あれで話は終わりだとは思わないでちょうだいね。一木先生」


床に蹲っている先生の襟元をつかみ、強引に顔を上げさせる。

こういうことをしていると、私って本当に悪役令嬢っぽさが染み付いてるって実感するわ。


もっと賢い人かと思ったけれど、単純ですぐに作戦に引っかかってくれてよかったわ。

スミレから会いたいってメッセージが届いてよほど嬉しかったのね。


「……証拠なんてないだろう」

「あらやだ、やけに素直に自白したと思ったら証拠がないって言って逃げ切れると思っていたの? 腐った根性をお持ちのようね」

可愛らしく「ふふふ」と微笑んでみると、睨みつけられてしまった。


「……君がこんなに恐ろしい子だとは思わなかったよ」

どうやら証拠なんてとっくにこっちの手の中にあることに気づいていないみたいだわ。

スミレの手前、一応は制御しつつ話していたけれど、もう遠慮はいらないわよね。