「な、なにかついてる?」

「君と会えてよかった」

「……なによ、急に」

プレゼントくれたり、からかってきたり、真剣になったり、雨宮には調子を狂わされる。

この男の本心がどこにあるのかさっぱりわからない。



「でもまあ、悠には簡単には渡せないかなー」

「だから、私はそんなつもりないわよ」

天花寺はいい人だとは思うけど、原作通りに私が今恋をしているわけではない。

原作の真莉亜だったら即久世と婚約破棄して天花寺に乗り換えているだろうな。というか、この状況やばくない?

天花寺に好意を寄せられているなんて原作の犯人に知られたら、どうなってしまうの?


殺した動機が天花寺関連だったら、このまま原作通りに……うっ。


私、まだ死にたくない!


悲しいことに問題はまだまだ山積みのようだ。



「あ、そろそろみたいだ」

浴衣の袖の中から携帯電話を取り出した雨宮が画面を確認して微笑みを浮かべる。

おそらく花火が始まるという意味なのだろうと思い、かご巾着の中に雨宮から貰ったプレゼントを入れた。