今年の浴衣は爽やかに白地に朝顔の花が描かれたものにした。

髪の毛も綺麗に纏めてもらって、上機嫌の私の隣には気乗りしなさそうな蒼の姿。

お母様が蒼にも浴衣を着せたいと言い出して、お父様のを引っ張り出して着せて満足げに送り出してくれた。

お母様の機嫌が良くなったのは蒼のおかげだ。


車で児童館の傍まで送ってもらった頃には、夜を迎えていて星が瞬いていた。

予定だとあと三十分後くらいに花火が始まるはずだ。間に合ってよかった。



「二人とも久しぶりだね」

「天花寺様。お久しぶりです」

私と蒼を児童館の前で出迎えてくれたのは濃紺の浴衣を着た天花寺だった。

街灯に照らされた肌は焼けているようには見えない。


図書館で会った海老原くんは一体どんなバカンスを楽しんであんなに焼けたんだろう。絶対どこかしらに出かけていそうな天花寺だって色白のままなのに。




「お姉さんのこと少し借りてもいいかな?」