とうとう八月三十日が来てしまった。

けれど、お母様はなかなか外出を許可してくれない。

こっそりと用意した浴衣がこのままでは無駄になってしまう。

地獄の英語の勉強を朝から夕方までさせられてげっそりとしている私を見て、蒼は今日はゆっくり休めばと言われてしまった。

もうしばらくの間は英語を見たくない。


今日まで必死に頑張ったんだ。

このまま素直にお家でおとなしくしていますなんて嫌だ。女は度胸!


どうしても行きたい私は浴衣は泣く泣く諦めて、動きやすい格好でこっそりと窓から庭に出た。

青い空が赤く焼けて、夜を迎えようとしている。

急がないと時間が来てしまう。


こうなったら華麗に抜け出して、ひっそり戻ってきてやるわ!

地面から熱気が立ち昇り、室内でエアコンによって冷やされた身体の体温が上がっていく。


人に見つからないように物陰に隠れながら、門扉のところまで辿り着くと最後の敵と向かい合った。



まるで私、怪盗みたいカッコイイ。