二人を観察していると、瞳様は至って平然とガムを噛んでいる。先ほどと同じだ。スミレ様は、口を窄めている。


……なにしてるんだ、この人。ぷるぷると震えながら、涙目になっていて、犯人はこの人しかいない。


「スミレ様、すっぱいの当たりましたね」

「顔で丸わかりだね。じゃあ、ほら変顔どうぞ」

観念したスミレ様が披露した変顔は凄まじいものだった。鼻の穴が膨らみ、目が三日月型になり、尖らせた唇の隙間から前歯が見える。必殺技は顎出し。

それを見た私と瞳様はほぼ同時に吹き出して、お腹を抱えて笑った。スミレ様は本当に変顔を全力でやっているみたいだ。


この後、第三回も開催したけれどまた私が負けてしまった。瞳様は運がいいのか一度もすっぱいのに当たらずに済んでいた。私たちは笑い疲れるくらい笑って、放課後の茶道室を後にした。

こうして私とスミレ様、瞳様の奇妙な関係が始まったのだった。