「私、貴方の妹さんとご友人にプールに突き落とされましたの」
「ひっ!?」
「彼女たちを裏で操っている方に用があって捜しているの」
海老原くんは口をパクパクとさせながら額に汗を滲ませていく。
視線が合わなくて、私の話が聞こえているのかすらよくわからない。そのくらい彼は混乱していた。
「い、妹が、うぅう雲類鷲さんを? そ、そんな……」
「ああ、大丈夫ですよ。公にするつもりはございません。まあでも、貴方がご協力してくださると嬉しいのですが」
俯く海老原くんの顎に手を添えて強引に顔を上げさせる。
たっぷりと五秒くらい視線を合わせて微笑むと、海老原くんの頬は赤らめるどころか青ざめていった。
おかしいわね。悩殺のつもりだったのに。
ここは顔が赤くなって、骨抜きにさせる予定だったのに。
どこで間違ったの?