「実は私もこういった駄菓子が大好きですの」
秘密ですよと微笑むと、スミレ様が「まあ!」と声を上げて前のめりになって食いついてきた。
だが、正座をしていて足が痺れたのか勢いよく畳に顔を打ち付けて「ぐえっ」と潰れたカエルのような悲惨な声を上げた。
なんだかスミレ様の印象がかなり変わってきた。
「スミレ、落ち着いて」
「だ、だって〜! あの真莉亜様が駄菓子好きなんて! 夢みたいだわ!」
畳と擦れて少し赤くなった鼻の頭をさすりながら、興奮気味に話し出すスミレ様。どうやら喜んでいるみたいだ。
「私も驚きましたわ。まさかお二人が駄菓子好きだなんて」
他の女子生徒達はそんなこととは知らずに二人の関係を妄想して楽しんでいるんだろうな。
「私の場合は、スミレに付き合わされているだけだけどね。スミレが元々お菓子好きで最近は駄菓子にハマっているんだ」
「そうでしたの」
高級なお菓子しか食べなさそうなスミレ様が駄菓子を好きだなんて意外だけど、今のスミレ様を見たらあまり驚かないかもしれない。
そのくらい普段とのギャップが激しい。よく普段はこの姿を隠しきれているな。
「うわはははは! それでは早速第一回『忍法☆すっぱいでござる』勝負を開始するわ!」
スミレ様の笑い方がおかしい。それに第一回ってなに? まさか何度も行われるの?



