「さあ、スミレここから好きな食材を選んでいいよ。あと悩んだり、ときどきつまみ食いなんかもしてくれてもいいけど、視線はどちらかのビデオカメラにね」
「……これは必要ないわよね」
「あとは、あ!ちょっとスミレなにしてるの。ビデオカメラに近づくのはいいけど触れちゃ……あ!三脚畳んだらダメだよ」
「……これも邪魔だわ」
スミレが無表情でビデオカメラのスイッチを切って三脚を畳んでいる。
この家ではこういうことが日常茶飯事なのだ。
スミレのお兄さんたちはスミレを撮影するのが好きで、様々な姿を記録に残したいらしい。
「そんなことをしてしまっていいの? スミレ」
「っ、なによ」
「優しい俺はレオ兄さんにもシオン兄さんにもこのことは内緒にしてあげているんだよ。知ったらきっと大騒ぎだっただろうね」
「ぐっ!」