放課後になると、蒼に先に帰っていてと連絡を入れて約束の場所へ向かった。

そこは第二茶道室。茶道部は第一茶道部の方を使用しているので、ここは授業以外では使われていない。


「申し訳ございません。少し遅れてしまったわ」

「い、いえ……」

部屋の中に入ると正座をしているスミレ様と瞳様がいた。その表情からして緊張している様子だった。もしかして真莉亜がなにか企んでいるとか疑っているのかな。

二人と向かい合うように座ると、重たい沈黙が流れる。


「それで、その……真莉亜様、本気ですの?」

「ええ」

「あの真莉亜様が『忍法☆すっぱいでござる』を召し上がるの!?」

「ダメかしら」

「ダメではないけれど、真莉亜さんがこのような駄菓子を召し上がりたいなんて少し意外で」

私が出した条件とは、三個入りの『忍法☆すっぱいでござる』を一つ私にわけるというものだった。

だって懐かしいし、この駄菓子大好きだったから久しぶりに食べたい。その条件に目を丸くして驚いていた二人は未だに信じられないみたいだ。