振り返った瞳様が私の姿を見て、青ざめていく。スミレ様は涙目であわあわとしていて、普段の彼女からは想像がつかないくらい可笑しな動きをしている。


もしかして彼女達の秘密ってこれなのだろうか。いつも二人で密室でなにかしているという噂は実はスミレ様の持ってきた駄菓子を嗜んでいるとか?



「あ、あの真莉亜さん……これは、その」

「どどどどうしよう! 瞳、真莉亜様の記憶を消さないといけないわ!」

なに恐ろしいこと言い出してるんだ。スミレ様ってかなり変な人なんじゃないの!?


「落ち着いて、スミレ。まだ聞かれていたとは限らないし」

「あの、全て聞いてしまいましたわ。申し訳ございません」

私の言葉に頭を抱えて「駄菓子のスミレと呼ばれて笑いものになってしまうわ」とぶつぶつ言いだすスミレ様。

私のことなんだと思っているんだ。まあ、今までの真莉亜だったら軽蔑とかするのかな。このような庶民の食べ物を嗜むなんてどうかしていますわ。とか言っちゃうのかな。



「このことは誰にも言いませんわ。ただ、一つ条件をだしてもよろしいかしら」


私は口角を上げて微笑むと、人差し指を立てて小首を傾げた。