早速スミレのお兄さんに頼みに行くという瞳とスミレが先に帰った後、私とパペットちゃんはスミレからもらったケーキをふたりで食べていた。

これもそのお兄さんが作ったんだよね。ショートケーキ美味しい。

スポンジとスポンジの間には、甘酸っぱいジュレが挟まっていて、ホイップクリームの甘さもちょうどいい。シンプルで重たくないケーキだ。



「流音様は彼が笑わない理由をご存知なのですか?」

「笑わないんじゃない……っ、笑えないんだ」

私は雨宮から聞いたけど、景人からは聞いていないので知らないっていうことになっているので聞いてみたけど、この様子だとやっぱり彼女も知っているみたいだ。


「わ、笑うな……、なんて」

珍しくうさぎのパペットではなく、彼女が震える声で言葉を紡いだ。


「流音様、ゆっくりで大丈夫ですよ」

言葉を詰まらせる流音様は焦っているように見えて、落ち着かせるように微笑んだ。