「うわぁああん! お許しを〜!」

あの可憐でお上品なスミレ様が、あろうことか子どものように喚きはじめた。


「なんで学校に持ってくるの」

「だってだって〜! 瞳とどっちがすっぱいの当たるか勝負したかったんだもん!」

「バカじゃないの」

しかも、意外と瞳様が辛辣。いつもはスミレ様に甘い表情で微笑みかけるその姿に女子生徒達はうっとりしているのに。けど、これもまた彼女達のツボをつきそうだ。


「あんなとこで落として、スミレの物だってバレたら大変な騒ぎになってたよ」

「ポケットからハンカチ出すときに、うっかあぎゃあ」

「もう何言ってるのかわからない」

あ、スミレ様と目が合ってしまった。

やばい。私が盗み聞きしていたと知られたら、これってかなり厄介なことになるんじゃ……。あっさりバレてしまうなんて探偵としての訓練がまだ足りないみたいだ。


「ひひひひひひとまり、さままりあああああ」

「スミレ、いい加減にしないと……え」