その夜、スミレから電話が来た。

特に用件が思い当たらなかったので、疑問に思いながら電話に出てみるとなにやらよくわからない学校の怪談話が始まった。


『これはある女子生徒から聞いた話です。

委員会で少し帰るのが遅くなってしまった女子生徒は、部活に遅れてしまったため急いでいました。

すると、ふと左端に何かが見えたのです。

足を止めて、おそるおそる振り向くとおかっぱの小さな女の子がぺたん、ぺたん……と足音を立てながらこちらに向かって俯きがちに歩いてきていました。


その姿はまるで日本人形のようで、この世のものとは思えないほど日差しに透けた肌が青白かったそうです。


そして、女の子は消えそうなほどか細い声で「れ……」と何かを口にしました。


けれど、女子生徒には聞き取れず、聞き返してしまったのです。


すると女の子は、先ほどよりも低い声で「たぁちされぇえええええ」と叫んだのです。

驚いた女子生徒は慌てて廊下を駆け出して、必死にその場から逃げました。

……あれはなんだったのでしょうか』



「オチないんかい」