「今はそんなことないわ」

「そうなの?」

「そうよ! だからもう気にしなくていいのよ!」

真莉亜は色々と蒼に気を遣わせていたんだなぁ。これからは蒼の苦労も減るといいんだけど。


じっと私のことを何故だか見つめている蒼が不思議そうに小首をかしげた。


「なんだか最近姉さん変わったよね。口調も時々崩れるし、笑い方も変わった」

「え、そ、そう?」

それはまずい。もっとお嬢様言葉を練習しないと。基本的に「〜ですわ」「〜ですの」って話す感じだよね。笑い方も上品にしなくちゃね。


「でも俺は今の方が好き」

落ち着いていて大人びた弟が見せる無邪気な微笑みは反則級なくらい可愛かった。な、なにこの子! 可愛すぎて萌える!


「け、けど学院内ではきちんとしないとダメよね」

「まあ、そうかもしれないね。でも、俺の前では普通に話していてもいいんじゃない」

「ええ、そうね」

なんて可愛い弟! この子に苦労をかけないためにも私は自分の身は自分で守って危険を回避していかなくては。