慌てて謝罪をすると、長めの前髪の隙間から覗く大きな瞳が私を捉える。

艶やかな黒髪は肩につくくらいに切りそろえられており、これで着物を着ていたらリアル日本人形のよう。

その人物はうさぎのパペットを私の目前に持ってきて『こちらこそすまない』と言ってきた。


「流音(るのん)様」

流音様ことパペットちゃんとは同じクラスだけど、彼女は常に一人で行動していて右手にはうさぎのパペット人形をはめて、怪しげな分厚い本を読んでいることが多いため会話をする機会がほとんどない。


「紅薔薇の君、そろそろ私の呪いが必要になったか?」

「い、いえ」

相変わらずうさぎのパペットを持っていて、身長も低く童顔のため幼い子どものように見える。

彼女は大分変わり者だけど、歴としたお嬢様で日本舞踊、琴、書道など様々な習い事でかなりの実力を発揮しているらしくお嬢様たちからは一目置かれている。

おそらく花ノ姫にスカウトされたのもそれが理由だ。