人の優しさに触れると調子が狂う。

私には自分を殺す犯人を見つけて回避するって目標があるから、誰かと親しくなったり心配されたりと親交を深めるつもりなんてなかった。


それなのに『忍法☆すっぱいでござる』という駄菓子食べたさにスミレや瞳と関わりを持ちはじめて、いつのまにか大事な友達になっていたんだ。

気づけば浅海さんや天花寺たちとも繋がりができていて、あんな風に体調まで心配してもらうことになるなんて思いもしなかった。


みんなといると楽しいと感じることが多くて、つい目を背けたくなってしまうけれど、自分の未来について考えることをやめちゃダメだ。


暗いテンションを引きずりながら医務室へと足を踏み入れると、私の顔がやつれて見えたらしい先生に体温計を渡されて強制的に椅子に座らされる。

熱じゃなくて頭が痛いので薬くださいと伝えても、まずは熱を測りなさいと言われてしまった。

多分熱はないと思うんだけどな。そんなことを考えていると測定終了の電子音が鳴った。


「あら、微熱ね」

「え」

「早退するほどではないと思うけれど、一時間くらいベッドで休む?」