気分が重たくなるあの日が来てしまった。

花ノ姫の集まりである庭園(パピヨン)での花会。

パピヨンと呼ばれているだけあって、ここにあるものは蝶のモチーフのものばかりだ。

長いテーブルを囲むように花ノ姫がずらりと座り、紅茶とお菓子を楽しんでいる。これはいつもどおりの光景だ。


蝶が描かれたティーカップに口づけて、周囲の様子を窺う。

……あ、この紅茶美味しい。オレンジみたいな香りがして、ほんのりと甘さが口内に広がる。


「本日の紅茶は爽やかでいい香りね」

「ボヌールフイユのオランジュ・フルールという紅茶のようですわ」

「まあ、通りで柑橘系の香りがするのね」

なんてのほほんとした会話が聞こえてくる。今日は何事もないといいけど。

花ノ姫は全員が仲がいいわけではないし、人間だから相性もある。

時折、嫌味を言い合ってバチバチと火花を散らすバトルを繰り広げる人もいるんだよね。この花会は読者にはサバトと呼ばれていた。