「ハンカチ汚してしまってごめんなさい。……ありがとうございました」

「いえ、気になさらないでください」

「……ケーキはお好きでしょうか」

「え!? 好きです」

「よ、よろしければケーキを召し上がりませんか?」

浅海さんは突然の誘いに驚いているようだけれど、スミレとしては恐らく先程のハンカチを汚してしまったお詫びをしたいのだろう。


「いいんですか?」

「は、はい。……あのお名前をおうかがいしてもよろしいでしょうか」

「浅海奏です」

「……私は水谷川スミレと申します」

ぎこちない接し方だけど、スミレからは刺々しさが消えていて浅海さんに対して嫌な印象は抱いていないようだった。


「俺らは混ざっちゃダメかな」