独占欲高めな社長に捕獲されました


 一時間後、私たちはギャラリーから一番近くにある自社ホテルの一室にいた。

 メイクがボロボロに崩れ落ちた私への配慮で、社長が空いている部屋を探してくれたのだ。

 以前連れていかれた会員制ホテルではなく、誰でも使えるビジネスホテル。唯一空いていたダブルベッドが置かれた洋室は、ブラインドを開ければ夜景が見えるようになっている。

 洗面台の前には壁一面を覆う大きな鏡。アメニティのメイク落としや洗顔料って、大体落ちにくくて肌がつっぱるんだよね……でも、お泊まりするような彼氏がいないからマイメイク落としなど携帯していないし。

 しぶしぶ使ったアメニティは、思ったより使用感がよかった。もともと濃くはない私のメイクは、何の問題もなく綺麗に落ちた。ダブル洗顔して、すぐにアメニティ化粧水で保湿する。

「ぷは……」

 すっぴんの自分に自信はない。けれど、まるでハロウィンのお化けみたいだった顔よりはマシだと思うことにする。

 タオルで首筋や髪に残っている水滴を柔らかなタオルで拭いていると、なんだか落ち着かない気持ちにきた。

 これって、彼氏とお泊まりするみたい……。

 いや、ほら! 鏡だけ見るとね! 首から上だけね!