「どうぞこちらへ」
お姉さんたちに誘われるままに歩いていくと、元のエレベーターホールへと帰り着いた。そこで待っていたのは、西明寺社長だった。
社長は腕組みしたままこちらを眺め、ニッと口の端を上げた。
「どうだ、天国は見られたか」
「おかげさまで……」
社長に見られていると思うと、急に露出した二の腕や膝が照れくさくなる。拉致される前に一瞬おかしな想像をしてしまったから、なおさらだ。
「今まで何をしていたんですか?」
スパを堪能している間、合計二時間ほどかかったはずだ。見上げると、社長は淡々と説明する。
「自分の部屋で仕事をしていた。暇じゃないんでね」
自分の部屋……ってことは、どこかに社長専用ルームがあるってことか。あるいは、社長も会員になっているということか。どっちにしても、セレブにしかできない発言。
「さあ、行くか」
「え……ええと?」
既に押されていたボタンに招かれ、エレベーターが到着した。さっさと乗り込んだ社長はこっちを見て手招きする。
「早く乗れ、のろま」
どこへ行こうと言うのか。怖くて躊躇っていると、後ろからお姉さんたちが私の両腕をつかみ、エレベーターに押し込んだ。



