──一時間後、服を脱がされた私は思い切り喘がされていた。
「あっ、そこっ……くうぅっ!」
繊細な指の先が、私の凝り固まった肩の肉に食い込む。
「お客様、お疲れのようですね」
白衣を着た美人マッサージ師が、落ち着いた声音で言った。
一時間前に私が誘拐されたのは、社長のスイートルームなんかではなく、上階にあるスパだった。
ジェットバスや岩盤浴を備えた大浴場に身ぐるみはがされて放り込まれた私は(洗面器とタオルは貸してもらえた)、その壮大さに前を隠すのも忘れてため息をついた。
実用的でスタイリッシュな浴場の天井はドーム状になっている。
ジェットバスの背後の壁はガラス張りになっており、実際の夜空とお台場の夜景を楽しむことができた。
これは……どういうこと? ここで体を清めてから、悪魔社長の生贄に捧げられるってこと?
考えながら体を洗い、ゆっくりと湯につかる。日々の疲れがお湯の中に溶けていくようだった。
「はあ~」
思わず吐息が漏れる。
せっかくだから堪能していこう。こんなところのスパ、なかなか利用できないもん。逃げる方法はそれから考えればいいや。
全部のお風呂を周り、岩盤浴までして、のぼせる直前で脱衣所に戻ると、待ち構えていたように白衣の女性に囲まれた。



