「ぼったくられている可能性はないですか?」

「んー、大丈夫だと思います。栄養剤の点滴だけでなく、救急車とER受診料、各画像検査、食事代、着替え代、その他諸々……高すぎることはないと思います。公立の病院ですし」

 アンナさんが明細を細かく見ながら説明すると、がくがく震える私の横で昴さんがその領収書を受け取る。

「いいでしょう、この代金は俺が払います。カードは使えますか」

「ええ、もちろん」

「では一括で」

 財布からカードを取りだした昴さん。呆気に取られていた私。ベッド上の父が口を開く。

「いやいや、いくら美羽の彼氏さんと言っても、ここで甘えるわけには」

 ようやく父親らしいことを言いだしたお父さんを見下ろし、昴さんは言った。

「もちろん、タダで肩代わりするというわけではありません」

「あ……ですよねえ」

 一時的に貸してくれるということだよね。昴さんも早く日本に帰りたいだろうし。

 帰国したら、昴さんに借りた飛行機代と入院費、返さなきゃ。悔しいけど、おばあちゃんの力を借りるしかないのか。

 ぎゅっと唇を噛むと、昴さんが予想もつかない言葉を口にした。