独占欲高めな社長に捕獲されました


 ガラス戸の向こうから、誰かが歩いてくるのが見える。あまりウロウロしているところを見られない方がいいだろう。咄嗟に観葉植物の陰に隠れた。

「やっと出かけられる。先方はもう到着しているかな」

「まだ大丈夫でしょう。でも災難でしたね。今日に限って遅れるなんて」

 心臓が縮みあがった。聞こえてきた声の一方は、確実に昴さんのものだったから。

 出かける用事があったの? じゃあ、お弁当を食べている暇もなかった?

 いったいどういうことかと、植物の葉の間から様子を窺う。昴さんの隣には、秘書らしき女性が立っていた。スカートからのぞく足が憎らしいくらいほっそりとしている。

「災難とまではいかないさ。俺の用事も突然だったから」

「それにしても、毎日お弁当を作ってくるなんて。しかも同じような具の。社長のお体のこと、ちゃんと考えてくださっているのか疑問です」

「はは、厳しいな」

 ごくりと唾を飲み込んだ。

 あの秘書さん、私のことを知っているみたい。体のことをって……野菜が少ないことにケチをつけているのかな。