朝起きてお弁当を作り、出勤したら真面目に仕事をし、昼に昴さんにお弁当を届け、夕方までまた真面目に仕事。家に帰ったら例の絵のことを考えるという日が続いた。
「……こんなもんか……」
金曜の朝、おにぎりを作りながらぼそりと呟いた。
出会った直後はやたらと仕事帰りに誘ってきた昴さんが、一度寝て以来さっぱり現れない。
【弁当うまかった】とか【おやすみ】とか短いメールは来るのだけど、仕事が終わってから会いたいと言われないのは、やはり寂しい。
吊った魚にエサをやらないとか、そういうことなの?
「きっと忙しいのよね、社長だもん」
不愉快な想像を打ち消すために、わざと声を張ってみた。
そうよ、彼は一般社員じゃないんだもん。私が知らないだけで、結構色々と忙しいのよ、彼も。なんたってあの会員制ホテルのオープンが差し迫っているんだし。
必死に自らに言い聞かせておきながら、実は苛立っている自分に気づき、落ち着くために深呼吸する。
私、自分で思っていたよりもずっと、昴さんのことが好きみたいだ。敵だと思っていたから素直に認識するのに時間がかかったけど、最初に会ったときからずっと、気になっていた。



