「この前は一緒に出張に行って……さぞ仲良くなったんでしょうね……」
ぶつぶつ念仏を唱えるように詰め寄ってくる契約社員さん。
「いや、むしろ叱られて心の距離は日本とパリくらい開いているけど」
仕事だから、一緒にやっているだけで。見た目小奇麗でも、あんな意地悪男、私は嫌いだな。
「本当ですか?」
「うん。それに私、彼氏いるし」
ちょっとからかうつもりで言ってみた。昴さんを目の前にしたら、きっと『彼氏』なんて甘酸っぱい単語は口に出せなかっただろう。
「ええっ!?」
大きな声で驚かれて、一瞬視線がこっちに集まる。けれど、それぞれ皆休憩を取るために散らばっていった。
「そんなに驚かなくても……じゃあね」
私ってそれほど、彼氏いなさそうかしら。ちょっとショックかも。
適当にその場を離れ、デスクに戻って携帯を見る。
おにぎりを作ってきたのはいいけど、受け渡し方法まで決めていなかった。あっちは社長で、外出したり、来客があったりするだろう。決まった時間に休憩を取れるわけでなさそうだけど、どうかな……。
「ん? なにこれ?」



