独占欲高めな社長に捕獲されました


 どうしても私におにぎりを作ってほしそうだ。そんなの、昴さんでも簡単に出来そうなのに。って、毎朝そんなに暇じゃないか。

「わかりました。それほどおにぎりが好きだったんですね」

「……うん。好きだな。好きだって気づいたのは、お前に屋上でもらってからだったけど」

 信号が青に変わり、昴さんは正面を向いて話す。

「母親も家政婦も、なかなか作ってくれなかったんだよ。見た目にこだわる人たちだったから、運動会でも遠足でも、スタンダードなおにぎりを見たことがない」

「代わりに何が入ってたんですか?」

「色とりどりのサンドイッチ、ベーグルサンド、クロワッサンサンド、米なら稲荷ずし……」

「もういいですありがとう」

 筋金入りのお坊ちゃんかよ。私はおばあちゃんのおにぎりで育ったわ。一番食べやすくて腹持ちがいいし。

 ふと以前、秘書さんが昴さんに買ってきたお弁当を思い出す。オシャレなパンとサラダだった。彼はそういうものを食べ飽きているのだろう。

「お前といると、新しい発見があっていい」

 それって、単に生活レベルが違うから物珍しいだけじゃあ……。

 ツッコもうかと思ったけど、やめておいた。運転する昴さんの顔が、とても楽しそうだったから。