日曜はそのまま、夜まで社長、もとい昴さんの家で過ごした。彼は私が描いたスケッチをお気に召して、空いていた額に入れてアトリエに飾った。
「本当に自分で描けばいいのに」
自分が描かれた絵をこれほど満足そうに見つめる人が他にいるだろうか……。
そう思うくらい、社長は私の絵を褒めてくれた。
「時間がありませんよ」
仮に本当に自分で描くとしても、時間が足りなさすぎる。
昴さんはやっとスケッチから視線を外し、こちらを見た。
「そうだな。お前の絵も俺の専属にしよう。俺だけが見られる絵というのも悪くない」
「あはは。大げさですよ」
そんなスケッチくらいで。そもそも私の絵は評価されず、そのせいでプロへの道を諦めてしまったレベルなのに。
だけど、昴さんが気に入ってくれたのは素直に嬉しかった。
「じゃあ、そろそろ出るか。送っていく」
彼が椅子に掛けてあった上着をとる。私はうなずき、そのあとをついていった。
一歩一歩、昴さんの部屋が遠くなる。車に乗ってマンションの敷地から出た途端、寂寥感が胸に迫った。
「明日から、ちゃんと仕事もしろよ」
「はい」
「あと、ひとつ頼みがある」



