社長はきっと、私とこういう関係になってしまったとしても、仕事に妥協はしないだろう。適当な絵でOKを出すとは思えない。今までと条件は変わらない。

「わかりました」

 実家をどうするにしても、全力で絵を探す。今の私にはそれしかできない。

 迷いを振り切るように首を縦に振ると、ふっと微笑んだ社長が私を愛しそうに見つめる。その視線に絡められて動けなくなると、触れるだけのキスをされた。

「よし、じゃあ飯にしよう」

「きゃあっ!」

 明るい部屋で社長が裸のままベッドから起き上がる。私はそれを正視できず、両手で顔を覆った。

「なんだよ」

「だって、社長が、社長が……」

「はあ……」

 ため息が聞こえたと思うと、両手を掴まれた。強引に顔をさらけ出される。

「あのなあ、この期に及んで社長って呼び方はどうかと思うんだが」

「え? え?」

 裸の社長が目の前で私をにらんでいる~!

 意外に厚い胸板や薄く割れた腹筋が視界に入っただけでクラクラした。

「名前で呼べ。じゃないと放してやらない」

「うそ!」