結局、その後、すぐに千歳くんがお母さんを連れて戻ってきた。
それで、お母さんに強引に手を引かれて家に連れ戻されて、私の家出騒動はあっけなく終了した。
千歳くんがお母さんと戻ってきたとき、千尋はすぐにリビングを出ていってしまったけれど、くれた折り紙の虹色ハートだけはずっときらきらしていて、あれだけお母さんに怒っていたはずなのに、渋々許すことができたんだ。
お母さんは、千歳くんに、ごめんねとありがとうを何度も言っていた。
私は千歳くんに、ごめんね、だけちゃんと言った。
.......ありがとう、は、言わなかった。
千歳くんは、そんな私の髪をよしよしって撫でてくれたけれど、その手のひらより、虹色ハートを握る自分の手のひらのほうがずっと温かかった。
あの日だと思う。
私が千尋のことをいいやつだって思ったのは。
千尋に対しての“苦手”の気持ちがすっかりなくなったのは。
それまであんまり好きじゃなかった千尋が、あの時だけは、頼りない虹をもつ、王子様みたいだった。



