「虹ちゃん。これ、いちばん難しいハートの折り方でできてるんだ」
「..............え、」
「それとさ、これ、俺がもってる中でいちばんお気に入りの折り紙で作ったよ。だからさ、」
「..............、」
「もう、泣かないで、虹ちゃん」
手のひらの虹色のハートのラメがきらりと光る。
さっきまで、ずっと背中を向けていた千尋。
感じ悪いし、慰める思いやりの心もないんだっておもってた。
だけど、違ったんだね。
.......誤解してごめんね、千尋。
千尋はさっきずっとこれを折ってくれていたんだね。
そのことに気づいて、一度チクリと罪悪感が胸をさしたけれど、それよりも一気になんだか温かい気持ちに包まれた。
一番難しい折り方で、自分の一番好きな折り紙で折ったもの。それに、千歳くんとは違って、千尋は、本当に家出したいなら一緒にしてあげる、って言ってくれた。
手のひらのものから目を離して、千尋に視線をむける。
そうしたら、手のひらの虹色と同じくらい、なんだか千尋がきらきらして見えた。
それは泣いて視界がゆらゆらしていたからかもしれないけれど。
「.......千尋、」
「うん?」
「.......ありがとう。もう泣かない」
そう言って涙を拭いた私に、千尋は小さく頷いて、うれしそうに笑ったんだ。



