席に向かい合うように座って、水嶋くんはティラミス、私はいちごソースがかかったパンナコッタを頼んだ。ファミレスだから、すぐにスイーツは運ばれてくる。
本当なら、すぐにスプーンをもって食べ始めたいところだけど。
さっきの店員さんとの会話や美優の話を思いだしたら、やっぱりどうしても不思議で仕方ないというか腑に落ちないことを、もう一度水嶋くんに尋ねてみたくなる。
今目の前にいる彼は、モテる男の子だ。
遊んでるみたいだし、多くの場合は、自分から積極的にいかなくても相手のほうからきてくれるんじゃないかなって思うんだ。
それなのに。
「…水嶋くん、やっぱり気になるんだけど。…なんで私なの?」
ティラミスを食べかけていた水嶋くんがその手を止めて、私を見る。
それから、スプーンを行儀悪くティラミスにさしたまま、手を離して、ゆるく頬杖をついた。
「その質問2回目ー。言ったじゃん、暇だから。朝比奈とのことも気になるし」
「でも、私のこと好きじゃないよね、水嶋くん」
「そりゃね。そんなすぐに人間のことなんて好きになんないよね。でも、いいなーとは思うよ、枢木ちゃんのこと。ふつーに顔とか可愛いって思うし、スタイルもタイプだし。逆にさー、本気で好きな方がちょっと気持ち悪くないー?今までまともに話したことないじゃん。気になったから、近づいてる。なんでって、暇で退屈な中で、あんたが気になったから、それだけじゃだめなの?」
頬杖をついたまま身体をわずかに傾けて、口元に弧をえがいた水嶋くんだけど、その口調はからかっているものとは少し違っていた。
だけど、もっと可愛い子がいるのにって思ってしまう。
来る者拒まず去る者追わず、そのスタンスの中に、来ないものを追う、っていうものは含まれていないはずだ。



