お互いに何もしゃべることなく、ただアイスを食べながら歩いている。
それだけだけど、こういう時間がけっこう好きだなあと思う。
もともと友達もあんまり作るほうじゃないし、こんなふうにのんびりアイスを食べながら歩ける人は少ないから。
「千尋、食べるのはやすぎだよ」
私はまだ半分も残っているっていうのに、あっという間にコーンのとんがりまで食べ終わってしまった千尋。
最後の仕上げのように、サクッて気持ちのいい音が私の左耳にはいってくる。
「好きなものは気づいたらなくなってる」
「味わった?」
「充分」
「じゃあ、別にいいね」
生温い風のせいで溶けかかったソーダアイスの底の方をなめる。
千尋はアイスを食べるのがはやいけど、逆に私は遅いのかもしれない。
だっていつも、溶けてしまう。
たぶんアイスを食べるのが下手くそなんだと思う。



