「ん」
ぼんやりと眺めているうちに、千尋は自動ドアをすり抜けて私の元へ戻ってきた。
かと思ったら、不機嫌オーラ全開のままで、私の顔の前に棒アイスを突き出してくる。
謎の威圧感があって、はやく受け取れという圧力を感じたから、訳も分からずにおずおずと受け取る。
「え、と、」
戸惑っている間に、自分の口元にソフトクリームをもっていった千尋を見る限り、私に手渡したアイスはやつの分ではなさそうで。
となると、これは私のアイスっていうことになる。
でも千尋には頼んでないし、そもそもそういう雰囲気でもなかったし。
未だ袋に入ったままのアイスと千尋の顔を交互に見ていたら、千尋が呆れたような、少し腹を立てているような、形容のしがたい顔をした。
「虹の分だよ、ばか」
「え、」
「頼んでないけどとか言い出したら、没収する」
きれいなクリーム色のうずまきを壊しながら、早口でそう言って、スタスタと先に歩き出した千尋の後を、袋からアイスを取り出して急いで追う。



