大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】







「……千尋、アイス買ってきなよ」





千尋に対してうまく言葉にできない思いを頑張って伝えるために使うエネルギーがもたったいないから、話をそらすことにする。


なんとなく今日は疲れる日だなあ、と思いながら、ひとつため息をついたら、目の前で千尋の顔がむっとして、おちょくるようにわざとらしいため息をつかれる。





千尋が告白されるから。
千尋が私のこと馬鹿にするから。
千尋が友達を紹介しようとするから。



今日の私たち、いつもより険悪みたいだ。




「虹は外で待ってればいーよ」



むっとしたままの千尋が、私に背を向けてひとりでコンビニへ向かう。



険悪なムードがこのまま家に帰るまで続いたら嫌だなと思うけれど、私は別に悪くないし、よく考えたら千尋もそんなに悪いわけではなく、ただタイミングが悪かっただけのような気がして、そうなるとたぶん今日はずっとこのままだ。



ふう、と小さくため息をつく。

コンビニをのぞくとレジに向かう千尋が目に入る。



水嶋君よりは千尋の方が顔はタイプなんだけどな、なんていったら、たぶん機嫌はよくなるだろうけれど、言わない。



生暖かい夜の風に誘われて、小さく欠伸をしながら、ガラス越しの千尋をぼんやり眺めていた。